不合格者の仕事
第5章 寮
私はカンナの手をぎゅっと握りしめた。
カンナも私の手を握り返してくれた。
なんだか言葉を発しなくても、二人の心が通じ合っているように思えた。
「…202」
カンナが野田先生から受け取った札の数字を読み上げた。
「204…か。」
普通に考えて、202、203、204と部屋は並んでいる。
ということは隣の部屋ではないということになる。
さっきは不安が和らいだけど、また不安と恐怖が押し寄せてくるような気がする。
「ぼーっとしていないで早く寮に入りなさい。
騒がず、静かに荷物をまとめて、一回の食堂で昼食だ。」
まるで
牢獄の生活のよう……。