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不合格者の仕事

第1章 始まり。


「……」

お母さんは何も言えずに
うちらを見つめた。

いや
見つめているのだろう


うちらは二人とも

手を繋いで
下を向いていたから見えない

なにも見えない

涙で、雨で、
かすんでいるのかもしれない


「と…とりあえずここで待ってて

なにか拭くもの
持ってくるから…。」


お母さんは足音を立てずに
離れていく。

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