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サンタの足音

第1章 第一章

私の実家から車で30分ほどの所に、赤と緑それと白を、大胆に配色した外装のラブホテルがある。ホテル名も外観もクリスマスをイメージしたものである。

私はまだ学生で、夏休み休暇に北海道から帰って来ていた。当時同じ学校で付き合っていた彼女も、実家のある地方は違うが私の実家に一泊してから帰省することにしていた。

まだ若かったので、しばらく会えないのが寂しかったのだろう。家族と夕食をともにした後で、フェリー(船でも盛り上がったのだが…)に載せて乗ってきた車で「ちょっとドライブ」、そのラブホテルへ向かった。

外観も内装も、季節外れのクリスマス。さすがに夏はわざわざこんなホテルに来ないのか、空いている。

「まあ、オーストラリアではサーフィンに乗ってサンタが来るなんていうし…」

などと、冗談を言いながら、二人とも少しずつその気になってきていた。

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