鳴り響く踏み切りの向こうの世界
第3章 検証してみる
外へ出るとムッとした暑さに包まれた。もう夏のど真ん中。今年は猛暑だとニュースで見た。踏み切り周辺には帰宅に急ぐサラリーマンがぽつりぽつりと見える。
(あんな風にはなりたくない)
と思うのだが‥この先の見えない不景気の中であんな風にもなれない現在の自分もいる。
藤城は近くの自動販売機でアイスコーヒーを買い俺に投げつけた。
『ふーん。確かに‥しかし‥気づかなかったなぁ。なるほど。通りゃんせ。中々センスのあるネーミングだな。うん』
踏み切り横にある何坪ほどだろう?小さな二階建ての不動産を藤城は感心するように見ていた。もう閉まっている。
『やっぱりこの辺の家賃は安いなぁ‥不便だもんなぁ』
ガラス戸に張られた手書きの広告を藤城は見ていた。昔ながらの地域密着の不動産屋なのか?少なくても俺はこんな小さな不動産屋で自分の家を探したいとは思わない。
俺は缶コーヒーを開けた。
『ご馳走様。で?』
『でって言われてもなぁ。この場所は‥つまり向かって右側から下りの急行列車に飛び込んだ。間違いないのか?』
『急行列車は間違いない。この目で見ている。ただこの場所かは確実じゃない』
『はっ?確実じゃない?じゃあ何故この場所からだと思ったんだ?』
『犬婆さんさ』
『犬婆さん?』
(あんな風にはなりたくない)
と思うのだが‥この先の見えない不景気の中であんな風にもなれない現在の自分もいる。
藤城は近くの自動販売機でアイスコーヒーを買い俺に投げつけた。
『ふーん。確かに‥しかし‥気づかなかったなぁ。なるほど。通りゃんせ。中々センスのあるネーミングだな。うん』
踏み切り横にある何坪ほどだろう?小さな二階建ての不動産を藤城は感心するように見ていた。もう閉まっている。
『やっぱりこの辺の家賃は安いなぁ‥不便だもんなぁ』
ガラス戸に張られた手書きの広告を藤城は見ていた。昔ながらの地域密着の不動産屋なのか?少なくても俺はこんな小さな不動産屋で自分の家を探したいとは思わない。
俺は缶コーヒーを開けた。
『ご馳走様。で?』
『でって言われてもなぁ。この場所は‥つまり向かって右側から下りの急行列車に飛び込んだ。間違いないのか?』
『急行列車は間違いない。この目で見ている。ただこの場所かは確実じゃない』
『はっ?確実じゃない?じゃあ何故この場所からだと思ったんだ?』
『犬婆さんさ』
『犬婆さん?』