鳴り響く踏み切りの向こうの世界
第1章 一束の人生
救急車がけたたましくサイレンを鳴らし走り出すと、まるで幕が開いたかのように警察官が事情聴取をしているのが見えた。
(あれっ?)
と思ったのは二人組の警察官に挟まれた…恐らく目撃者であろう婆さんを俺は知っていた。
乳母車に犬を乗せ毎日決まった時間に散歩している婆さん。
動物好きの俺はよく乳母車に乗った犬の頭を撫でた。婆さんは曲がっている腰を更に曲げて
『良かったね。いつもありがとうございます』
婆さんは俺の事を覚えているのか…それとも口癖なのかは分からない。
分かっているのはこの犬がこの婆さん同様にかなりの年寄りである事だった。柴犬。名前は‥知らない。
婆さんは蒼い顔して二人組の警察官に話している。警察官は婆さんの口元に耳を近づけ頷いている。なんとなく笑いそうになったのは、不謹慎かもしれないけど俺には安っぽいコントに見えた。
軽いクラクション。空っぽの列車が鈍い音を立て動き出した。
カンカンカン…鳴り響く警報器のメロディーに俺は自然に作詞した。
死ぬ、死ぬ、死ぬ…死ね!
俺は‥‥相変わらず作詞の才能がないな。 生意気なガキにでも歌わせるかな。
(あれっ?)
と思ったのは二人組の警察官に挟まれた…恐らく目撃者であろう婆さんを俺は知っていた。
乳母車に犬を乗せ毎日決まった時間に散歩している婆さん。
動物好きの俺はよく乳母車に乗った犬の頭を撫でた。婆さんは曲がっている腰を更に曲げて
『良かったね。いつもありがとうございます』
婆さんは俺の事を覚えているのか…それとも口癖なのかは分からない。
分かっているのはこの犬がこの婆さん同様にかなりの年寄りである事だった。柴犬。名前は‥知らない。
婆さんは蒼い顔して二人組の警察官に話している。警察官は婆さんの口元に耳を近づけ頷いている。なんとなく笑いそうになったのは、不謹慎かもしれないけど俺には安っぽいコントに見えた。
軽いクラクション。空っぽの列車が鈍い音を立て動き出した。
カンカンカン…鳴り響く警報器のメロディーに俺は自然に作詞した。
死ぬ、死ぬ、死ぬ…死ね!
俺は‥‥相変わらず作詞の才能がないな。 生意気なガキにでも歌わせるかな。