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鳴り響く踏み切りの向こうの世界

第1章 一束の人生

一瞬…視線が合った。

口元の笑みが消えた男は俺の視線から逃げるようには振り返る。

一瞬…男の輪郭を確認した。言わえる゛イケメンではない。

面長の男。どこか優しそうな男だった。

だからだろうか?この微かな違和感。偏見かもしれないが、もしも見るからに悪人だったり…大人が言う゛今時の若者゛なら俺は見過ごしたかもしれない。

警報器が消え…遮断機が上がる。追いかけたい衝動に駆られた。が‥‥

『通りゃんせで事故か…久しぶりだな』

後で誰かが言った。俺の足が止まる。
俺は改めて踏み切りを見た。

(成る程、通りゃんせか…)

軽い渋滞が流れ出す。

気が付くと男の後ろ姿は消えていた。


俺は欠伸を噛み殺した。 今夜も仕事だった。

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