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無題

第4章 変化(前編)

「あの…」

「何?」

「アドレス聞いてもいいですか?」

「え?俺?」

イケメンでも雅樹でもなくて?

「えっと…ぁッ郁也君ッ以外は聞いたので」

そう言うことか
と納得して
郁也は
アドレスを教えた。

「ありがとうございます。メールしますねッ」

そう言うと
女の子グループに合流して
帰っていった。

バタバタしてて
あまり見れていなかったけど
結構可愛い娘達だったよなぁ
と背中を見送っていると
後ろから
声をかけられた。

「帰るか?」

「ぅん」

「…泊まってくか?」

「え?」

郁也が不思議そうに聞くと、
雅樹は
フイッ
と背を向けてしまった。

「今日、合コン…出た、し…」

言いづらそうに小さく喋る雅樹を
しばし見て
考えて…
思い出した。

先回りして
雅樹の顔を覗き込むと、
顔を真っ赤にして
うつ向いてしまった。

あえて耳元で聞く。

「ご褒美…何がいい?」

「ッ…」

「俺にできることなら何でもいいよ?」

うつむいたまま
固まってしまった雅樹に
更に囁く。

「雅樹君にご奉仕したいなぁ…さっきみたいに」

ビクン
と反応して
目を見開いた雅樹から
スッ
と目を反らして
自宅方面に歩く。

数歩
歩いたところで
腕を捕まれた。

振り向かずに足を止めると、

「…ご褒美…それで、いい…」

郁也の背中に
小さな声が届いた。

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