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無題

第5章 変化(後編)

放課後の
帰る時間になって、
早々に
帰宅しようとする雅樹を
ほぼ反射的に
引き止めてしまった。

何を言うでもなく
気まずく腕を掴んで
立ち尽くしている郁也を
雅樹は
面倒臭そうな表情で
暫く見つめていたが、
何も喋ろうとしない
郁也の様子に
痺れを切らした雅樹が
口を開いた。

「話があるなら家来るか?」

うつむき加減のまま
無言で頷いて
手を離した郁也の頭上に
小さなため息が聞こえ
郁也は更に
項垂れてしまった。

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