記憶のカケラ
第7章 別れと…
咲菜絵さんと別れたあと、
「楽しかったねぇ。」
と亜梨紗は少し笑う。
まだ、前のようにではないけれどここ数日間の中で一番亜梨紗が自然に笑っていた気がする。
なんて思うとガラにもなく、ほっと亜梨紗に聞こえない程度に小さくため息をつく。
それから亜梨紗は
「咲菜絵さん…なんとなく、お母さんに似てた。」
とつぶやいた。
やっぱり亜梨紗も思っていたようだ。
亜梨紗が自然に見えたのも、それが少し関係しているんじゃないかと思う。
「そうだな。」
掠れるような小さな声で俺は頷いた。
それからは残り少ない帰路をさっき話したことを思い出しながら帰った。