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記憶のカケラ

第5章 非日常


私が落ち着いてから少したって遼は振り向いてコップを渡した。

「…これ杏奈が入れた。」

「ありがとう。」

渡されたミルクティーは甘くて、すっと溶けていった。

「…お父さん達きっと帰ってくるよね。」

「俺は信じてる。きっと熱とか空気とかで弱ってんだ。今日は早く寝ちまえ。…寝る前になんか食うか?」

私は首を横に振る。

「今は入んないからいい。遼明日朝になったら海に連れてって。」

「わかった。」

自分にいっぱいいっぱいで気づかなかった、遼の目が赤いことに...
遼にとっても家族のように過ごしてきたんだ。
冷静だけど、それはきっと私やおばさんのために落ち着かせてくれてたんだね。

「遼…お願い眠るまででいいから手ぇ握ってて。怖くてたまらないから。」

「わかった…。」

そういって握ってくれる。


不安だったけど遼がいてくれたからなんとか私は息をしていられたんだ...

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