記憶のカケラ
第6章 悲しみ
私の手を握ったまま遼は横で寝ていた。
いつまで起きていてくれたんだろう。
なかなか眠れなくてずっと布団の中で泣いていた。
そんな私の涙を拭ってくれたり、頭を撫でてくれたり...
遼は本当にずっとそばにいてくれた。
まだ不安な気持ちは全然消えない。
けど...確かに手に、心の奥に遼の温もりがあった。
「…ん。亜梨紗…起きたのか?」
起き上がりながら私はゆっくり返事をした。
「…うん。」
「…じゃあ、海行くか。ほんとに大丈夫か?俺だけ行ってくるんでもいいぞ。」
遼はほんとに優しいと思う。
でもこれは私が行かなきゃいけないから。
「大丈夫。行く。」
「わかった。」
遼は私が決めたことになにも反対せずに助けてくれた。