記憶のカケラ
第6章 悲しみ
遼と一緒に家を出る。
1階を通ったとき開いていたドアの隙間からリビングにいるおじさん達をみた。
みんな寝ているみたいだけど背中からぐったりしているのが伝わった。
きっと自分の家族のように心配してくれてたんだなって心の奥がまたあつくなった。
それからいつものように遼の自転車に乗る。
「しっかり掴まってろよ。」
「うん。」
いつも通りなようでどこかぎこちないやりとり。
心なしか遼の背中もいつもより丸く、自信なく見えた。
いつもは他愛ないやりとりをしながら笑いあって進んでいく道。
今日は私も遼も何も言わなかった。
空は昨日とはうって変わって晴れ渡った空。
見えてきた海は波も少なく穏やかだった。