記憶のカケラ
第6章 悲しみ
午後3時ごろだろうか。
杏ちゃんが目を泣き腫らして港にやってきた。
「おじさんとおばさんみつかったって…。」
杏ちゃんは何も言わなかったけど表情と涙のあとから伝わった。
「…わかった。今2人はどこ?」
「本州にある病院よ。お母さんとお父さんがこれから船で向かうために準備してる。
…おじさん達を迎えに行かなきゃね...」
そういって杏ちゃんはまた泣き出した。
遼はそんな杏ちゃんを近くのベンチまで連れていって座らせた。
「亜梨紗…。」
決して大丈夫か、とは聞かない遼。
「…っふ。りょぉっ。」
私はすがるように遼に抱き着いたまま泣いた。
遼はそんな私をただ抱きしめていてくれた。