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声をきかせて…

第4章 帰り道

と、思ったら私の様子を見るなり去っていった。

(なんなのよ!
小野さんがバックさえ忘れなければこんなことにならなかったのに…
初日になんでこんな目に合わないといけないのよ…
そもそも大丈夫?とかどうした?とかも言えないわけ…)

絡んできた男に嫌な気分になっていたが、完全に矛先が変わり私は小野さんに八つ当たりしていた。

痛みも和らぎ歩き出そうとしたとき、小野さんの影が日菜子の前にあらわれた。

袋をもって…。

日菜子に近づくと小野は持っていた袋に手をかけ冷えぴたと絆創膏を差し出した。

日菜子はなにも言わずに小野のその行動を見つめていると私の足を指差してきた。

『あっ…すみません…。
ありがとうございます…。
豆がつぶれただけなので絆創膏だけ戴きます。』

そう言うと私は小野さんから絆創膏を受け取った。

絆創膏の箱を見てみると女の子が喜びそうなかわいい猫のキャラクターの絆創膏だった。

『ふふふ…。小野さんわざわざ買ってきてくださってありがとうございます。でも…これは恥ずかしいですよ』

なんて単純な私…。
完全に怒りは消え、笑っていた。

絆創膏を貼りおわりお礼を言い自宅マンションのある方へ歩き出そうとすると小野さんに、持っていたバックを取られ私の横につき並んで歩いていた。

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