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目を瞑ると君の声が聞こえる。

第1章 ここでおわり

「誰だっ! 誰かいるのか?」








声がした。






男の声だった。










「ええ、います! ここです。ここにいます!」









おれは叫んだ。









「今、そっちへ行くからな。動かないで待っていなさい」








おれは安堵した。




仲間がいて良かった。

















……仲間?












本当にそうか?












おれの脳裏に先程の死体が過った。









こいつが殺したということもあるのではないか?












じゃあ、おれ、もしかしたら殺されちゃうかもしれないじゃん!











「どこだっ! こっちか?」











声が段々と近付いて来る。












「おいっ! どこにいるんだ? 返事をしろ!」







男が怒鳴る。










おれは息を潜めた。





男の声とは反対の方向へ、ゆっくりと歩き出した。











「あっ!」









死体に躓いて転んだ。




思わず声が出てた。







「なんだ? なんの音だ! おい、誰かいるのか!」







男は怒鳴りながら近付いてきた。








おれは黙ってその場を離れた。








「なんだこれは?」






男は、足元の死体に気付いたようだ。







「なんだ、これは? 人間か? ……しかし、こう暗くちゃ、見付けられもしない。おいっ! さっきの奴、どこにいった!」









おれは男の声を無視をした。

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