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ふしだらと言わないで

第7章 ラブ・エッチ・スリル~あたしだけが特別な感情を~

兄side




バチンっ!!


俺の頬はかつてない力で
柚香の渾身でひっぱたかれた



柚香は震えている

顔が、

信じてたのにって言ってる

柚香が薄く唇を開く



「…………なんで?」



俺は切れた唇の血を拭う



「…で、どうすんの?
親父に言う?」
「言うわけないじゃん
それより
なんでってあたし聞いた」



やばいな

つえー



「あたしの知るおにぃは
努力をかかさないし
勉強も運動もできるし
カッコいーし
一途だし
彼女を裏切ったりしないし
流されたりしない」

「んな人間がいるかよ
買いかぶりすぎ」

「おにぃには
あたしを抱く理由があった
それを聞かせて」



まっすぐ見つめてくる



「そんな都合いい理由があるかよ」

「ある
あたしはおにぃを信じてる
ぜったい、訳がある」



まさかと思う

縋りついてくる

合意のないセックスを
たった今した男に



柚香の目が強い
思わず見とれてしまいそうだ



「言いたくないって言ったら?」

「どんな理由でも聞きたい」



一つ下の仲のいい妹

もちろん好きだったし、
愛しい存在だった



俺は乾いた笑いをあげた

世の中には信じたくな

い事実と現実と真実がある



「俺

この家の子じゃないんだとよ

親父ともお前とも血が繋がってない

兄妹?
笑わせんなよ

18年間兄としてやってきたぜ?
ずっと家族だと思ってた

お前がかわいかったよ

けどつい最近だ
真実を知った時憎くなったよ

愛しいぶん憎かった

親父の子供はお前だけで
愛情もお前にだけで
親父は俺を義務だけで育てて…

偽物の家族?
俺は俺を救いようがねぇよ
羨ましーよ
うぜぇんだよお前は
お前は俺のほしいもん全部持ってて



…あ?

はははははっ

お前なにその顔?

ふざけんなよ
哀れんでんのかよ
全部持ってるお前がか?



教えてやるよ
俺、高校卒業したら
親父に
出てけって言われてるんだぜ?

九州に行くんだよ」



俺は壊れていた

言い方も
もっと

考えていたはずなんだ

壊れたひずみが
徐々に浸透していって
俺を内側からおかしくさせる

まともでいたかった
でも、

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