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ふしだらと言わないで

第7章 ラブ・エッチ・スリル~あたしだけが特別な感情を~

「おにぃこそなにやって…!」
「別に、ちょっと走ってきただけ
気持ちいいぜ」



へなへなと力が抜けた

安心から泣けてきた



「お、おい…」
「………ちゃったって…
いなくなっちゃっ
たって思った………っ…」



だって昨日のおにぃは

本当に壊れてたんだ

真実を一人でかかえ続け、少しずつ憎しみや絶望で病んだおにぃは弾みでぐちゃぐちゃに壊れてしまった

どす黒い感情で香り立つ危険な男



おにぃの痛みやつらさや感情があたしに乗り移って触れたらあたしまでぐちゃぐちゃになりそうだったけど

あたしだけでも
わかってあげたかった

今見放したらおにぃは本当にだめになっちゃう気がしたから―…



「ばかだな」



おにぃは深く息をはいて

頭を乱暴に撫でてくる



「なんでそうなる
別に…出てかねぇよ」



優しげに笑うおにぃは、昨日壊れてた人とは微塵も感じさせない、爽やかな顔で朝日に向かって視線を注ぐ

あたしはそれに見とれていた



「お前に吐き出して

自分でも不思議なくらい

スッキリしたんだ

感謝してる

妹がお前で…よかった

心配すんなよ

これ以上落ちようねえから

あとは上がるだけだろ?

俺はもう、大丈夫だから」



完全に立ち直ってるおにぃは

朝焼けを負かすくらい

あたしに感動を運んでくる



「悪かったな、お前には

ってお前…」

「え、な、なにっ?あ、あれ?」



おにぃの視線が移った

あたしはどきまぎとしていた



「お前なにこのカッコ…

見てくれと言わんばかりじゃん」



なぜかパジャマの上がひらけていたあたしの胸は丸見えだった

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