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ふしだらと言わないで

第7章 ラブ・エッチ・スリル~あたしだけが特別な感情を~

兄side




柚香には

嫌われてるものだと思っていた



だから心底驚いていた

柚香は、まともじゃなかった俺に体を奪われている

だからこそ余計に、信じられない気持ちでいっぱいになる

俺は汚い物を吐き出した
他人だと思えば
いくらでも柚香を憎めた

恨み言、憎しみ、嫉妬、羨望…
ひどいことだって言った



耐えられなかった
自分だけが堕ちていくのが耐えられなくて柚香を道連れにしようと、壊れたように俺は柚香を犯した



柚香は、侵蝕するような汚らしい感情をただ抱きしめ、今もこうしてなお俺を許してくれている



「はは…」

「ちょっとおにぃ、

人の話聞いてるの?」

「すげぇ…」



俺にふさわしくない、水滴のような物が目からこぼれた



「ちょっ…!?」



柚香の優しさに触れ、俺は人間に戻れる歌を聞いた気がした

暗い闇の底でも

きれいな

しずかな歌が届く



俺の、男の、薄汚れた物でどんなに汚しても柚香は―…



心配そうに覗き込んでくる柚香



俺は手を伸ばしてその頬に触れた



柚香は驚きで目を丸くして

頬を染めながら触られていた



頭が真っ白になるような、信じられない快感が俺を襲った

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