エロマッサージ
第2章 第二章
「……こんにちは」
遠慮がちに店の扉を押すと、カランカラン、という音がした。
刺繍作業をしていた高坂さんがその手を止め、こちらを見上げる。
「いらっしゃいませ。安藤様」
(名前…覚えててくれた)
まるで当たり前だとでも言うかのように、軽く微笑み、私と視線を交わす。
「あの…マッサージ、お願いしたいんですけど」
「はい、お任せ下さい」
カタン、と会計机の傍から立ち上がり、奥の部屋の扉を開けて私を誘導する。
「今日は夕方からのお客様しか予約がなかったもので。
前回と同じ二時間コースでよろしいでしょうか?」
「は、はい!
少し肩がこっていて……」
「そうですか、では肩から解しましょうね」
「…お願いします」
(たわいもない、店員と客の、会話。)
高坂さんから着替えの籠を受け取ると、私は早めに着替えを済ませ、マッサージを始めてもらった。