エロマッサージ
第4章 第四章
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「…あー……疲れた」
調子に乗って履いた高めのヒールが恨めしくなる。
普段こんなに高いの履かないんだもん。
ああ…もう。
ショッピングモールの壁に寄り掛かり、少しだけ休む。すると視界にあり得ない人影。
「……っあ」
(…………高坂さん、だ)
人混みを避けてみる顔から肩にかけて、間違いなく高坂さんだ。
声をかけようか。私なんかに声をかけられたって、嬉しくはないだろうに。
淡い期待を胸に、寄り掛かっていた壁に手をついて歩き出そうとすると、
「…………こーさかくんっ」
すっと横から抜けて出てきた女の人。
ふんわりとした髪、缶を潰したようなくびれ。
胸は大きく、横からみる唇は色っぽい。
どき、として、血が引く。
高坂さんの腕に絡みついたその女の人を引き離すことなく、二人は人混みの中に消えて行った。
「…………っ、か、…」
(……帰ろう)
私は何を思ったのか、その場から逃げるように…
いや、逃げ出したのだ。