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好奇心─小さな欲望─

第1章 1時間目

「おー、まぢまぢ」

大きく目を見開く将太に、
どや顔でうなずく碧斗。

「ニヒヒ…やったな!碧斗っ」

「おーっ!やったな!将太っ」

「………朝から廊下でニヤニヤして…
二人共、なにやってんの?」

顔を見合わせてニヤツク、どー見ても不審な二人に、呆れた声で言う少年。

奥谷(オクヤ)和希(カズキ)。
二人と同じ、小学3年生。(3の2)
一人称、僕。

「うおっ!和希!おっはよーっ」

「おお、和希っ」

一斉に和希の方へ顔を向ける将太と碧斗。

「はぁ……学校来たら、朝イチでこれだもんよ…」

頭を片手で押さえながら、溜め息と一緒に、和希はポツリと呟く。

「何だよ和希ぃ~っ!
朝から溜め息なんて吐いてっ…

溜め息吐いたら幸せが逃げるって、
母ちゃんが言ってたぞ!」

将太はジトーと視線を送って和希にいう。

「あー、はいはい」

「もー、頭いたい…」なんて和希の言葉は将太には聞こえていないだろう。

「まーまー、二人共!
そんなくだらない話をしている場合ですか!?って」

今まで将太と和希の話を聞いていた碧斗が、間に割って口を開く。

「将太よ……お前はこのっ!うちの情報屋に聞くことがあるだろう!」

「はっ…っ!そーっだった…

くそっ!オレとしたことが……」

「……………は?」

いきなり話に入って来たかと思うと、
意味の解らない事を言っている碧斗。

そして、その碧斗の言葉に大袈裟過ぎる反応をする将太。

…僕に…聞きたい事?

朝というのは、只でさえ頭が働かないというのに、
そんなことはお構い無しでフル回転させる和希。

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