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redcross

第3章 クラブ

あの日もクラブに足を運んでいた。

踊るわけでもなくカウンターの椅子に座って、大人になった気分でカクテルを頼んで時間を潰すだけ。

でもこの日は違った。


『あれ?君?』

と声をかけられたが、私はチラッと顔を見たあと知らないふりをした。

すると耳元で声をかけてきた。

『援交してるでしょ?
天国(てんくに)神社のとこで待ち合わせして。』

私はびっくりして男の顔を見た。

男は笑いながら話を続けた。

『天国神社の近くにカフェがあるの知らない?
そこで働いてるんだけど。
よく見かけるからさ…



親父と待ち合わせして消えんの。』


『だから何?
私の勝手でしょ。』

『俺と組んでみない?
オヤジから金取るの。』

『はっ?私がやって何であんたに金をやらやきゃいけないの?』

『ヤル必要はない。
ただ鴨探して呼んでくれたらいい。』


『ふぅーん。別にいいよ。』

酔っていたからかもしれない。

刺激を求めてたかも知れない…。

私は海斗の案にオッケイを出してしまった。


これが海斗と初めて会った日だった。

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