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redcross

第10章 闇

ーーーカラン、カラン

『海斗!おかえり。』

『おっ!サトシ来てたんだ。』

『オーナーまた借りるね』

元ライブハウスの鍵を借りて、サトシと一緒に喫茶店を出た。

ライブハウスの階段を降り重たい扉を開ける。

もう10年ほど前のポスターがあり時が止まったままのライブハウスが俺は好きだった。

4年振りに来たときも変わらずに俺を迎えてくれてる気がした。

いつも使う席に座り、買ってきたタバコを吸っていた。

オーナーがいつも居る俺らの為に小さな冷蔵庫を買ってくれそこにアルコールやらジュースやら入っていた。

サトシがジュースを取りながら話してきた。


『あのファミレスの子、連絡先聞いたか?』

『まだ。罠は仕掛けたから次で連絡先聞くよ。』


『時間かけるねー。
そんだけ梓ちゃんだっけ?
好きなんだ。』

と含みのある顔をされながら言われた。

『アイツに費やした三年ぶん分返してもらわねーといけねぇから 。
慎重にしてるんだよ。
返してもらってないうちに失敗は嫌だからな』

俺はそう返した。

そう…
慎重にね…
罠に嵌められてるか分からないほどじわじわとね…。

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