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わすれない

第2章 それぞれの傷

「 ̄────自分からふっといてなんですが、今日は美里さんの意思を確認するためにきたのですから、片山さんの話はまた今度でよろしいかな?」

茅瀬は申し訳なさそうに片山さんをみる。片山さんもいきなりだったこの話に一呼吸おきたそうだった。




「それで、私の意思をとは……?」



「はい。明日発表する遺言書のことです。」

茅瀬は私の方に向きなおし、はなしをはじめた。
いくつかの事項で、私の意見が必要だという。


「何を、私がきめなきゃならないのですか?」


私が聞くと、茅瀬は少し、間をおいていった。

「会社の権限です。」


────会社の権限……。

「───権限といわれても。私には会社のことはわからないです。」



「あの……。」


そのとき、片山さんが申し訳なさそうに話しかけて
きた。

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