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わすれない

第2章 それぞれの傷

急に声をかけられてビックリしたが、いつも通りにあいさつをした。



「茅瀬さん、あの人が鈴本さんです。」


美咲は人なりにいた男に俺を紹介していた。よくみると初老で、胸に金色のバッチが光る。


美咲と茅瀬と呼ばれた男は俺の方に向かって歩いてきた。


病室の外にいるのもおかしいような気がして先にはいる。


「初めまして、私弁護士の茅瀬と申します。楓さんの父上の顧問弁護士をしております。」


弁護士は深々と頭を下げ名刺を渡してきた。俺も自分の名前を名乗り名刺を渡す。



「楓さんからあなたを探すようお願いされておりました。ご自宅へ何度かお伺いしたのですが、お留守だったようなので……。」


少し苦笑いをしながら頭をかいた。



「あぁ、すいません。急に仕事先から呼び出されて出張してたんです。だから、家に帰ってなくて……。」




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