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三日月の夜に

第3章 疑惑

植木の影から、この世のものとは思えないような、美しい女性がこちらを見つめていた………。


暗闇のような漆黒の長いなめらかな髪の毛。

月の銀色に輝くような透き通る白い肌。

その瞳には、空に浮かぶ三日月がうつっていた。


永遠に、その女性を見つめているかと思いはじめた頃、門のあく音がして振り返った。


妻の花織が立っていた。

はだしで庭に立っている姿をみて、驚いて立ち止まった。

「あ、あなた…どうしたの?」

星夜は、女性のいたあたりをふりむいたが、そこには誰もいなかった。


今、ここに…………

ショックが、星夜から声を奪ってしまったようだった。


「だ、大丈夫?とにかく、うちに入りましょう」

花織に誘われて、星夜は部屋に入った。


なんとか、ソファにすわった。


花織が電気をつけた。

星夜の様子に、ただならない何かを感じているようだった。

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