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三日月の夜に

第3章 疑惑

「ルナが、またいなくなった…」

少し落ち着くと、星夜が床を見つめたままつぶやいた。


「え………………」


「窓が、あいてたんだ。君があけていったの?」

星夜は花織を見なかったが、口調は思ったよりも強くなっていた。


「わたし、一度も帰ってきてないわ…」

申し訳なさそうに花織が言った。


「どこに行ってたんだ。こんな時間まで。」

「…え…」


唐突に質問が変わって、花織は少し戸惑った。

「毎日毎日、どこに行ってるんだ?」

星夜は立ち上がって強く言った。

星夜が妻に不満をぶつけるのは、これがはじめてだった。


「それは、友達と…友達が……悩みがあって相談に…」

花織にしては珍しく歯切れの悪い言い方だった。

「嘘だ………」

星夜はまだ、花織を見られないでいた。

「僕といるのが、嫌になったんだろ…わかってるんだ」

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