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三日月の夜に

第5章 確信

「君のことは、世界で一番好きだ。結婚した時から、そして今も、これからも。
でも、愛してはいなかったと思う。
君は、僕とは正反対の人だ。すごく憧れていたし、尊敬していた。それを、愛だと思っていたんだ。
きっと、君も、同じなんじゃないかと思う。
本当にごめん。
でも、君を傷つけたくはないし、誰よりも幸せになってもらいたいと思う。
僕では、君は幸せになれないんだろうってずっと悩んでた。」


「何を………言ってるの……?」

「こんな日がくるのを、本当はわかっていたと思う。」

星夜は感情をはさまず、ただ淡々と話した。

「星夜…………わたし………」


「別れよう。」

優しい笑顔だった。

「もっと早くに、そうすればよかった。そうしたら、君は………」

花織は涙を流した。

「わたしのことを、一番わかっているのはあなただわ…そのことはずっとわかっていたけど………」


「何も言わないで。君はただ、幸せになってくれればいいんだ。僕は一人でも、大丈夫だから。君を縛り付けていると思うと、僕は辛くてたまらないんだ。わかってくれるね?」

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