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三日月の夜に

第1章 猫がきた。

なんとなく帰りたくなくて、わざと残業するようになって、どのくらいの月日がたっただろう。


今日、花織は公休だった。


星夜はこれ以上遅くなってもと、重い腰をあげて店を出ることにした。



前は、少しでも一緒にいたかったはずなのに。

まさか、彼女のいる家に帰りたくなくなる日がくるなんて、冗談でも思わなかった。


自宅は職場からそう遠くはなかったが、普段は車を使っていた。

朝、一緒に通勤し、最初は一緒に帰っていたので、車は一台だった。


妻が休みの日には買い物に使うため星夜は徒歩で通勤した。


最近はあまり一緒に行動しなくなったので、星夜は歩くことが多くなっていた。

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