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もう1度好きになってもいいですか?

第4章 ふたりの過去

ごめんなさい。ごめんなさい。

若い男は何度も純平に頭を下げた。

純平は黙って、俯くだけだった。


おじいちゃんは子鹿を庇って、撃たれたそうだ。

それも運を悪いことに急所を一発で。


あたしは純平になんて声をかけたら、いいか分からず、情けないことにおじいちゃんらしい最期だったねと言ってしまった。

いっつも、わしたちは生命を頂いてるのだから、精一杯生き抜けって言ってたもんね。

うん。

自分たちに必要なぶんだけしか、殺しちゃダメって。

うん。

うわぁぁぁぁん

なんでお前が泣くんだよ。

純平は涙を流して、微かに微笑みながら、あたしを抱きしめた。

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