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あの場所で

第2章 あの場所へ 佐野京弥side

やっと高校生になれた。
義務教育から開放された感じだ。
感じってか本当に開放されたんだけど
今のクラスは雰囲気も良いし、メンバーも最高だ。
まだ入学して数日だけど、皆仲が良い。…はず

俺が前々から気にかけている子
白石美緒。
彼女は、喋っている所を見たことがない
それに顔もよく知らない
いつもマスクしてるからよく見えない
でも、陰でクラスのことをしっかり支えてくれていると思う
皆が嫌だ嫌だと言ってやらない仕事も彼女ならやってくれる
押し付けているわけじゃない
きっと心が優しいんだ
なんかその子は人間を避けてる感じだ


「おっはよ〜!!」
いつものように、滑り込みダッシュで教室に入る。
俺と白石さんは出席番号が近いから席も近い。
「おはよ、白石さん」
「お、おはょぅござぃます…」
今日もまたマスクをしている。
そのマスクと、パッツンの前髪で咄嗟に顔を隠した。
クラスに1人や2人そういう人がいるのは中学の時もそうだったけど、白石さんはなんか そういうのとは雰囲気が違う。
警戒してる…?

なんか…あるのかな…?

他のクラスの子に白石さんのことを聞いてみた。
「白石さんー⁇あぁ〜あの子ねー!!なんかあの子喋り辛いんだよねー」
「白石?誰そいつ」
「白石美緒って俺声知らないんだけどーww」
皆興味ないみたい


「おはよー白石さん」
「おはょぅござぃます…」
今日も下を向く。
「ねぇ、下見ないでよ」
白石さんは席を立ってどっかに行ってしまった。

その日の科学の授業
実験をするため、理科室に移動した。
理科室の机には番号順で座る。

あ…白石さんと隣だ…

授業が始まり、実験の準備
そして実験中に俺は、白石さんのマスクを外した。
「ちょっと…何するのよ…!!」
白石さんは強張った口調で取り返そうとするが、俺は手を上にあげて、届かないようにした。

「白石さん、マスク外したら可愛いじゃん」
「え…⁇」
俺はハッ!とした。
「いやいやいや‼今のは違う…!!」
「どうせ男なんかそうなんだから…何も知らないくせに…」
下を向いた。

俺は、白石には何かあると思った


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