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その瞬間、髪の長い女の子がその少女の手を引っ張った。
灰音だった。
間一髪、自転車は少女にぶつからずに済んだ。

「大丈夫ですか？」

灰音は聞いた。

「ありがとう。」

その少女は答えた。

「水沢灰音さんですね？」

「え？なんで知ってるんです？」

すると少女はいたずらっぽく笑うと

「一緒に来ていただけますか？」と聞いた。

しかしムリがある。誰だっていきなり会った人に一緒に来てなんか言われてついて行くような不用心ではない。もちろん僕もだ。

「その前に名前と行く場所を教えて下さい。」

さすが灰音。そこはしっかりしてる。僕は思った。
少女は答えた。

「ごめんなさい。私は、山梨すみれ（やまなしすみれ）。行くのは私の家。助けてくれたお礼もしたいし。」