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遠い幼なじみ

第5章 知ってしまった真実

私は部屋で一人、大きいぬいぐるみのクマちゃんを抱きしめていた。










“浩先輩、彼女いるよ”








その言葉が頭の中でリピートされる。








知りたくなかった真実を突然告げられた事に、信じられなかったのと、信じたくない気持ちの両方があった。












………でも、本当は気付いていたのかもしれない。







先輩は格好いいし面白いし、なにより優しいのだから。











中学校時代、あまり目立つ方じゃなかった私。




ある日、先輩がクラスに遊びに来た時に、小物入れを作っていた私に





浩「これ自分で作ったの?すっげー上手いっ!」






と言って、話しかけてくれた。






そこまで言葉を交わしはしなかったけど、唯一得意な裁縫を褒めて貰って本当に嬉しかったんだ。




そのおかげで、その後みんなも私に進んで話しかけてきてくれた。









格好いいだけじゃなくって、誰にでもフレンドリーで気さくな先輩が私は大好きだった。














あの優しい笑顔が、他の人のものになっちゃうの………?









そんなの、イヤだよ……




私は、クマちゃんを抱きしめる腕に力を込めた。


彼女でも何でもないのに、この心の中にあるモヤモヤはどうすればいいのかな………

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