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愛のため。

第126章 夢でいい。

いつもみたいに玄関で別れる。
時間がないのに
馬鹿なことを言いながら
笑いながら
何度もキスをする。

「夢をありがとう」

「夢や無いよ」

いつも最後を覚悟している
玄関先、二人の別れの時間。


何も知りたくないのは、
現実は知らない方が、
ずっと夢みていけるから。
ずっと。ずっと。

また、いつか。
そして、ずっと。

そんな夢みたいなことを
思い続けていられるから。

思い描くのは夢の中で。
夢でいい。
現実はどうにもならないから、
夢でいい。

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