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愛のため。

第147章 願わくば。

彼は最初から最後まで嘘つきで。
とてもつまらない嘘をつく。

会った当初の私は彼の嘘を
真に受けていたんだけれど、
だいぶ後から気付いた。
わかるようになった。
彼は嘘つきなんだ。
しかもほとんど悪意なく嘘をつく。


でもね。嘘ってね。
ダメなことなんだよ。本当は。
嘘をつくことで罪悪感を持たなきゃ。

誤魔化そうと思っていても、
取り繕った下手な嘘は
返って相手を傷つける。

私もたくさんのあなたからの嘘で傷ついた。
でも許せた。好きだったからね。


だけどね。
本当は私の前でくらい
嘘をつかないでほしかった。
あなたが嘘をつくことのない
特別な存在になりたかった。


願わくば、
「この人の前では絶対に嘘はつかない」
そう思えるほどの女の人と
彼が出会えますように。

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