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妄想でいず、暴走中。

第1章 妄想でいず、紛失。

大変なことになった。


私、日向花音は柄にもなく全力で走っていた。

事態は一刻を争うのだ。向かう先は、学校。


「はぁっ…はぁっ…」


普段の運動不足のつけがこんなところでまわってくるなんて…。
運動嫌いで、ろくに運動なんてしてこなかった今までの自分を呪う。

とにかく急がなくちゃ。
息を切らしながら、やっと学校にたどり着いた。

靴を履き替えることもなく、ローファーを脱ぎ散らかして校舎に入る。

あれを、あのノートを誰かに見られたりなんかしたら…!

かーっと頬に熱が集まる。


ちょっと恥ずかしいけれど、私の趣味は妄想でして。

男の子が苦手で、高校生になってからろくに男の子と会話したことすらない、こんな私が。

ノートには理想の人やら理想の出会いやら理想の告白やら…そんなことを書きなぐっているのだ。

そんなものを誰かに見られたら…!

(死んでしまう!!)



焦って躓きそうになりながらも、なんとか階段をかけ上がり2年1組の教室の扉を勢いよく開く。

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