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夏の秘密

第30章 大好きだけど大嫌い



勇助『…』

巧『勇助?』

勇助『…僕…遊びに行ってくる…』

母『夕飯には帰ってくるのよ』

勇助『…』

巧『…』


テストの答案
それを母に見せる事は出来なかった
遊びたいのを我慢して一生懸命頑張って
頑張って頑張って頑張って
勉強した
結果、点数は80点
80点は勇助の自己最高点だった
でも…


勇助『…』


80点の答案用紙
勇助はそれをくしゃくしゃに丸め
誰にも見られないように公園のごみ箱に
捨てた


勇助『…兄ちゃんのバカッ』


どんなに頑張っても
兄は勇助の上を、いとも簡単に軽々しく
超えていく
悪びれた様子もなく
それが当たり前の事のように…





勇助「…」


兄から逃げてきた
ずっと目を逸らしてきた
敵わない、敵わないなら最初から止めよ

競い合うのも頑張るのも
全部止めようと
でも…


巧「ただいま」

勇助「!!」

母「巧、お帰りなさい」

勇助「…兄ちゃん」


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