
夏の秘密
第31章 過去との決別
風太「…」
自分には友人がいる
好きな人が大切にしたい人がいる
だからもう悩むのも後ろを向くのも止め
よう
帰省しない事で
自分も義母も幸せに暮らせているのだか
らと、そう思っていた
でも…
男の子「うゎぁぁ~」
風太「…」
聞こえてきた
男の赤ちゃんの泣き声
いつもなら泣き声なんて全然、気になら
ないのに
その時は何故か気になって
赤ちゃんの方を赤ちゃんの母親の方を
見てしまった
母親「はいはい、どうしたの?」
風太「…」
若いお母さんだった
背が高くてスタイルもいい
耳にはピアス、爪には派手なネイル
髪は束ねず下ろしたまま化粧も少し濃く
子供を抱っこしていたが
母親というより
女性だった
母親「そんなに泣かないの、ねっ」
風太「!!」
その時
女性と目が合ってしまった
すぐに目を逸らしたが風太は気づいてし
まった
女性の正体に…
風太「…」
母親「待って!!」
風太「…」
