
夏の秘密
第14章 カラオケ
勇助「みんな頑張ったんだけどさ…」
夏「…」
試合に負けた事
目の前で見ていたし知っていたが
夏美の時に勇助から試合の事は聞いてい
なかった為
夏は必死に知らないフリをし
初めて聞いたように
振る舞った
夏「でも次、次がありますよ」
勇助「…うん…でも辞めようかと思って
るんだ」
夏「どうして?だって…だって勇助さん
あんなに頑張って…」
勇助「えっ?」
夏「あっ…いや何でも…」
勇助「…」
夏「でもいいんですか?勇助さんだって
本当はまだ…」
勇助「…疲れちゃったんだ」
夏「疲れた?」
勇助「サッカーは好きだけど…気持ちが
気持ちがもう無理なんだ…」
夏「勇助さん…」
勇助の頑張り
サッカーへの強い想いを知っていただけ
に
もう一度頑張れ、まだ諦めるなと
言う事は出来なかった
だって…
勇助「…」
夏「…勇助さん」
だって
勇助が泣いていたから
あの時と同じように精一杯、声を押し殺
し
泣いていたから
夏は勇助に何も言えなかった…
