乾いた空
第1章 一章
「前まではね、
実はレモン嫌いだったんだ。香りは良いけど、ただ酸っぱい気がして。」
少女は思い出すかのように話した。
「そうなんだ……。」
「でも、今は嫌いじゃないな。味も香りも そのとき嫌なことがあると嫌な味、匂いになるけど、良いことがあると美味しいとか、良い香りになるんだよね。
私だけかな?」
「そんなことないよ、レモン……好きになって良かった。」
僕に向けた顔があまりにも純粋で無邪気な笑顔だったので、あまりレモンが好きでないのに、嬉しい反応をしてしまった自分がいた。