乾いた空
第1章 一章
「月って、私達がいくら動いてもついてくるよね。いつもは止まって見えるけど、今は走っても、走ってもついてくる。」
「そうだね。」
「お兄さんは月と太陽どっちが好き?」
「……」
「どっちも好きじゃない?でも太陽ってイメージじゃ無いよね。」
「そうかもね。
君は?」
「私はさっき見た太陽が好きだな。」
僕はラジオを流したら、今日のこの日にお似合いかもしれない、ベートーベンの"月光"が流れていた。
確かに君は太陽だよ。僕とは違って太陽の下を大手を振って歩けるよ。
僕は一生太陽の光を……光のお裾分けも頂くことすら無理だろう。
きっと月すら無理だろう。