壊れた御守り
第10章 プレゼント
このときの俺には
麻美のくれた御守りに込められた意味がわかっていなかった。
無情にも、麻美の容態は悪化し続け、
麻美がもう学校には通えないかもしれないなんて
この時の俺は
バカみたいに幸せに浸りすぎて
麻美が我慢して隠していた痛みも
忍び寄る悪魔の足音にも
全然気づかなかったんだ。
サインは、こんなにも
嫌というほど大きく沢山
いろんなところから出ていたっていうのに
ガキだった俺には
それらが何を意味するかなんて
理解することが出来なかった。
事件が起きたのは
夏が終わり、秋に入ろうとしていた矢先だった。