壊れた御守り
第19章 再出発
“俺が麻美の病気を治してやるよ”
そう言ってたのは何ヶ月か前のこと。
必死に勉強して、自分が限界だと思っていたその先を知って。
厳しい現実を理解して諦めた夢。
その後なんか考えてもいなかった。
ただ、いろんな事がありすぎて見失ってたんだ。
自分の進路と、本当の気持ちを…。
「ちょっと前まで医者になるーとか言って頑張ってなかったっけ?」
健太が吹っ切れたように俺に問いかけた。
「そうだけど…それはもういいんだって」
「マジで?なんでだよ」
「っおい、これお前の相談じゃなかった?俺のことはどうでもいいだろ」
「よくねぇよ。せっかくだし、聞いてやるって」
健太…。
自分のことになるとすっげぇブルーになるくせに
すっきりしたらいつもの調子だよ。
まぁ、健太が元気なのはいいことだけど。
進路なんてそんな…。
夢…?