壊れた御守り
第10章 プレゼント
「なんで俺の誕生日知って…」
「健太くんに聞いたの。手紙をそれぞれの場所においてくれたのは、健太くんなんだよ!」
あいつも絡んでたのかよ。
だから麻美は誕生日を知って?
「麻美、俺…すげぇ嬉しい」
「ほんとに?やった!」
「麻美の誕生日、いつ?」
「え?12月25日だよ」
クリスマス…。
4ヶ月先じゃん。
俺は麻美をじっと見て言った。
「忘れんなよ。その日、俺がもっと最高の誕生日にしてやるから」
「え…?」
「俺がこれ以上に喜ぶような誕生日にしてやるってこと!麻美、何欲しい?」
何が欲しいか-
丈夫な体を-
彼女が一番欲しいものは絶対的にこれだったはず。
だけど、麻美はそんなこと、口にしなかった。
麻美は少し考えてから、にっこり笑って言ったんだ。
「慶ちゃんと、一緒にいられれば、何もいらないよ」
「麻美…」
「誕生日おめでとう。慶ちゃん」
泣きたくなった。
彼女は誰よりも可愛くて、誰よりも強いんだ。
俺は涙が出るのを隠すために、
咄嗟においてあったカメラで麻美の姿を映した。
「えぇっ!?慶ちゃんなんで」
「…ばーか。ぼけっとしてっからだよ」
「出た。久々の悪魔くん」
「久々に聞いた。それ」
インスタントカメラで撮った麻美の写真は、
オレンジ色に透けたバックが
麻美の無邪気な笑顔を更にひきたたせていた。