壊れた御守り
第11章 夢と現実
「なんで…そんなんわかんねぇだろ?」
「いや、君には無理だ」
「なんでだよ。出来るよ!!」
「諦めろ。君は医者になれない」
なんだよこいつ。
俺が医者になれない?
人の夢馬鹿にして潰そうとしてんなよ。
「あんたに何がわかんだよ。勉強だって必死にやってるし、学校でもいけるかもしれねぇって期待され始めてんだ。だから-」
「俺はそういうことを言ってるんじゃないんだよ」
北條は俺の言葉を遮った。
「だったらなんなんだよ」
「…動悸が不純だ」
「は?麻美を助けたいって思うことが不純?何言ってんだよあんた。ふざけんなよ」
「ふざけてるのは君だ。小南くん。君が彼女を助けたいということが医者を目指す動悸と言うなら、君はどう足掻いたってなれない」
「なんだって…?」
「お前、“医者”なめてんのか?
お前みたいなガキが“なりたいです”でなれるようなものじゃないんだよ」
俺は我慢できなくて、北條につかみかかった。
「やめろ。人に手をあげるようなやつ、尚更人を生かす職業にはつけないぞ」
聞けば聞くほど、正論なんだって理解させられる。
北條を見ると、
自分はちっぽけな
何もわからない高校生のガキなんだって
嫌でも思い知らされるんだ。
「わからないみたいだから、教えてやる」
「は?」
「なんで医者になれないか」
俺が息をのむと、北條はゆっくり口を開いた。
「足りない」