壊れた御守り
第11章 夢と現実
医者になって、麻美の病気を治してやるから。
だから俺が医者になるまで待っててくれ。
毎年、ここで花火を見よう。
だから
“死なないでくれ”
そんな思いを込めて約束をしたことを告げた。
北條は聞き終わるなり、静かにため息をついた。
「大体そんなとこだろうと思ったよ」
「ガキだな」
「なっ!?なんでそんなこと言われなきゃなんねぇんだよ」
「そんな約束、バカげてるとしか言いようがない」
北條は呆れたように俺を見た。
「高校生が考えそうな単純な言動だ」
「バカにすんじゃねぇよ!俺は本気で麻美を-」
「甘いな」
こいつは、若いけど大人だ。
俺がどんなに吠えようが関係ない。
冷静に、難しいことを俺に突きつけてくる。
何が甘い?
何が単純?
本気で麻美を助けたいって思ってるのに
“ガキ”だって?
「医者になって彼女を助ける?何寝ぼけてんだ?お前は」
「何がおかしいんだよ!?俺が医者になりてぇって思うのがそんなに悪ぃかよ!!」
「お前は医者にはなれない」
は?
なんで?
「お前じゃ彼女を助けることは出来ない」
静かな病室で、
北條は冷たく言い放つ。
まるで、全て“みえている”ような
そんな、冷たい目でじっと
俺を見据えていた。