壊れた御守り
第12章 土下座
「…君らしくないな」
「今のままじゃ駄目なんです…。俺には、
無理だ…」
消え入りそうな声を絞り出して言った。
「無理?」
「俺じゃ…麻美を救えない」
そうだろ?
現実を見るってのはこういうことだろ?
「俺じゃ、麻美を笑わせてやれない」
なぁ、医師。
お願いだよ。
「だから、だから麻美を…」
あんたはムカつくけど
ぜってぇ、好きになれねぇけど
だけどお願いだ…
「麻美を…よろしくお願いします…」
医師-
麻美を助けてよ。
絶対、絶対に…。
「お願い…します……」
高校2年の冬
それは最悪な修学旅行だった。
ただ、あの日麻美に触れたあの感覚だけは
今でもまだ、残ってる。
あれから何日か過ぎて
俺は麻美のいない冬休みを迎えていた。