壊れた御守り
第13章 殴られた痛み
「さむっ…」
商店街をぶらぶらと歩く。
クリスマス前の町は人が大勢いてどうも落ち着かない。
カップルばっかだし。
俺は肩を竦めてただあてもなく歩いていた。
「慶太…?」
「あ?…健太。なにしてんだ?って…その人、もしかして…」
前から歩いてきたのは健太で、
その隣には少し背の低い女の子が立っていた。
「そうですっ。健太くんの彼女です♪」
はぁ?
何こいつ…
彼女いたの?
ピンクのコートを着た彼女は、くりくりした大きな目を輝かせて
健太の腕に抱きついた。
「ばっ…!?何言ってんだよ凌華」
健太は凌華と呼んだその子を睨みつける。
え?違うのか?
健太は彼女を軽く突き放して俺を見た。
「こいつ、永嶋凌華。俺ん家の隣に住んでる幼なじみ」
幼なじみ…。
そっか。
なんだよ。びっくりさせんなって…。
「こいつ、高校行ってねぇんだ。凌華、こっちは俺の親友。小南慶太」
高校行ってねぇんだ。
んじゃ、なにしてんだ?
働いてるとか?
凌華は俺をじっと見あげて、にっ、と笑った。
「よろしくね。慶太くん」
「あぁ。どーも」
「私、会ったばっかで嫌われた?」
俺が返事をすると、凌華は顔を曇らせた。
え?なんで?
俺、なんかした?
「凌華、こいつ、普段からこういう顔だから。怒ってねぇよ」
こんな顔ってなんだよ!
ていうか、怒ってるように見えたのかよ。
凌華はそれを聞くとまたにっこり笑った。