壊れた御守り
第13章 殴られた痛み
よく笑う子だなって思った。
同い年らしいけど、なんか年下みたいな雰囲気がある。
凌華が俺にすっと近付いてきた。
「慶太くんって…かっこいいんだね」
「…はぁ?」
何、いきなり…。
「私、慶太くんのこと好きになっちゃうかも」
「ばっか。お前何言ってんだ。慶太はな、お前みたいなお調子者に興味はねぇの」
健太がそう言って俺に謝った。
凌華が不満そうに口を尖らせて言った。
「なんでよー。ねぇ慶太くん。好きな子いるの?…てか、彼女いたりする?」
好きな子…。
好きな子-
「いねぇよ。んなもん」
「へぇー。そうなんだ?じゃあ、あたしが立候補しちゃおうかな?」
「おい、凌華。いい加減にしとけ。ほら、用事あるんだろ?行けよ」
「…はーい。
また今度話そうね。慶太くん!」
「え?あ、あぁ」
凌華がにっこり笑って手を振った。
商店街の人混みに消えていく彼女を見送って、健太が口を開いた。
「ごめんな。あいつ、うるさくて」
「や。別に。明るくて良い子じゃん」
「あのさ、慶太…」
「あ?」
「ちょうど良かった…。お前に話があったんだよ。ちょっと今からいいか?」
健太が言う。
俺は時計を眺めてから頷いた。
「そか。んじゃ、とりあえず移動しようぜ」
俺は商店街を抜けて、健太と2人で裏通りへと出た。