壊れた御守り
第16章 麻美と凌華
「慶太ー!!あんた冬休みだからっていつまで寝てんの!!いい加減起きなさいよ!!」
俺の朝は母さんの怒鳴り声で始まった。
ケータイを見ると8時15分だった。
「なんだよ。まだ8時じゃねぇか」
「あんた!女の子ほっぽってんじゃないよ!?」
女の子?
あっ
なんか思い出したぞ…
「お、おはよう…慶太くん」
「お…ぅ」
あれから、凌華はとりあえず家に泊めることにした。
物置だった一室を片付けて凌華には昨日、そこで寝てもらったんだった。
両親は事情も何も聞かずに快く凌華を迎え入れた。
「凌華ちゃん、朝ご飯の支度ありがとうね」
「あっいえ…此方こそお邪魔してしまってすみません」
「いいのよ!!大歓迎よ。うちのバカ息子、よろしくね」
おい、誰がバカ息子だよ!
母さんが俺の部屋を出て行くと、凌華と2人きりになった。
凌華は部屋の隅にちょこんと座った。
「ありがとう…匿ってくれて…」
「気にすんな。俺がそうしたかったんだし。もう泣くなよ?ここにいりゃ、安心だからさ」
俺がボサボサの頭を整えて言うと、凌華は目を潤ませて頷いた。
「今日は麻美の病院に行くから、その帰りにでも長嶋の荷物とかとってきてやるよ。それじゃ不便だろ?」
凌華は何も持たずにここにきたため
今着てるのは俺の服。
大きくて着にくそうだったし、荷物がないと不安だろうしな。
その言葉に凌華はまた頷いてにこっと笑った。